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CATⅡ(5)

ピンポーン ピンポーン

蓮は熱でだるい身体を引きずるようにしてインターフォンに出た。

「はい・・・・」
表示された顔を見て、蓮はついに自分は幻覚を見るほどになったのかと呆れながらモニタの中の女性を凝視していた。

幻覚でも十分に綺麗だな・・

そんなことを思いながら蓮が、相手の反応を待つと声を聞いて吹き出しそうになった。

・・まったく声までしっかり記憶しているなんて
・・そろそろ俺も限界なのかもしれない

「蓮君・・ねぇ・・聞いている?・・声がかれているじゃない・・風邪なの大丈夫?ちゃんとご飯食べている?」

幻なら本当のことを言っても怒らないだろうか。
それとも俺の頭が正確に彼女の心を読み取って、優しい声で怒ってくれるだろうか・・

「いや、何も食べてないよ・・熱で・・・・食欲がないからね・・」

綺麗な顔をゆがませてキョーコが、中に入れてくれと叫んでいる。頭の片隅で自分の欲望そのままの話の流れに蓮はクスクスと笑った。

「ちょっと大丈夫?・・ね・・早くここを開けて?」
どこまでも自分に都合の良い話に蓮は、朦朧とする意識の中でドアの開くボタンを押した。

「すぐに行くから」
その言葉が聞こえると嬉しそうに蓮は微笑んで、崩れるように壁に寄りかかると意識を手放した。


*
ドアをたたく音に気が付いて蓮はゆっくりと瞳を開いた。

「あれ?・・なんでこんなところにいるんだ?」
心地よい眠りから無理やり起こされるような不快な音に、蓮は急に我に返り玄関の扉を叩く音に耳を澄ませると慌ててドアへ向かった。

「あれ?・・もしかして・・キョーコさん?・・本物?」

熱でボーっとする頭に自分の名前を叫ぶ声が聞こえてきて、蓮は鍵を開けた。

「れ、蓮君・・・よかった・・」
へにゃりと廊下に座り込むキョーコを見つけ蓮は驚きながら手を差し伸べた。

「えぇっと・・キョーコさん・・?」

「もぉ・・心配させないでよ・・何度も呼んだのに全然出てこないから倒れているのかと思って・・」
そう言いながらキョーコが左手で右手をさすっていることにきがついて蓮は差し出した手でキョーコの手首をつかみその身体を引きよせた。

「キョーコさん・・ごめん・・ちょっと意識が飛んでて・・クスクス・・それよりキョーコさんの手の方が心配だ・・中に入って?」

言われるままにキョーコは蓮の後について行き、リビングに入った。
40畳ほどのリビングとは別に8畳くらいはありそうなキッチン。
タクシーの運転手が 着いたよ と言ったマンションを見てキョーコは立ちくらみして、そのまま今来た道を戻ってくださいと言いそうになるのを寸前のところで堪えた。
外から見るよりも中はさらに豪華でキョーコは視線をキョロキョロと落ち着きなく動かしていた。

「キョーコさん・・よくここがわかったね・・」
擦れた声で尋ねるとキョーコは手に持っていたメモをヒラヒラとさせながら蓮に説明をした。

「あ・・うん・・その貴島君にこれをもらって・・」

「ん?あぁ・・貴島君か・・学校でも俺の住所を知っている人は少ないからね・・さて、何か用事だった?・・ごめん・・俺ちょっと横になりたいんだけど・・ソファーに寝転がっていいかな?」

「ああぁ・・ご、ごめんなさい病人だったわね・・えぇっとそのどうぞ・・じゃなくて寝室でいいわよ?ご飯作りに来ただけだから・・」

「嫌だよ・・寝室に戻ったらキョーコさんが見えないでしょ?・・クス」
冗談とも本気とも取れるような発言にキョーコは無表情になった。

「ごめん・・困らせたい訳じゃないんだ・・今日は来てくれてありがとう・・しばらくソファーに寝転がったら、ちゃんと寝室に戻るよ・・」
その優しさにチクリと胸が痛む。

「・・・・うん・・・・蓮君何か食べたいものある?」

「今食べられそうなものが思いつかないから、キョーコさんにお任せで・・良いかな?」
だるそうにため息をつくとソファーに倒れ込むように横になった。

「蓮君・・寒くない?」

「ん・・ちょっと・・キョーコさんが・・温めてくれる?」
瞳を閉じたままそう言うと、キッチンから聞こえていた音が止んだ。
蓮は微かに寂しそうな表情をつくると ゴメン今のは冗談だよ・・とキョーコを困らせないように言葉を付け足した。

いつまでも料理を作る音が聞こえず、蓮は不安になって瞳を開こうとすると、ふんわりと温もりと重みが蓮の身体に与えられた。

「え?キョーコさん・・?」
毛布の上からキョーコが蓮の胸に頭をのせてきた。その重みに、その香りに胸がしめつけられるような気がして蓮は強く抱きしめたい衝動に駆られた。

「寒いって・・言うから。・・・・やっぱり寝室に戻った方が良いかもね?」
キョーコがもたれかっていた頭を離そうとする。
蓮は右手でキョーコの肩を抱きしめるとその動きを封じた。

「離したくないんだ・・今日は一緒にいて欲しい・・何もしないから・・お願い」
懇願するような蓮の切ない声にキョーコは小さく頷いた。

「蓮君・・ここだと風邪が悪化するから・・寝室で寝てくれる?ちゃんとそばにいるから・・」
抱きしめている腕を緩めることができず、蓮はそのままキョーコの手を掴む。

「連れて行ってくれる?」
蓮が悪戯な瞳を向けたので、キョーコはクスクスと笑いながらニッコリと微笑んだ。

「甘えん坊ね・・?」

「風邪の時くらい大目に見てほしい・・」
キョーコはつながれた手を軽く引っ張って立ち上がらせると、蓮を寝室まで連れて行った。手のひらから伝わる熱に溶かされてしまうのではないかとキョーコは不安を抱えながら寝室の扉を開いた。




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