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愛していると言いたくて(9)

駐車場に車を止めて蓮は足早に自分の部屋を目指した。

昼間キョーコからメールが届いてDVDを見たいから部屋にお邪魔させてくださいと言う内容だった。
そこから長い一日が始り、今やっと仕事が終わってマンションに戻ってきた。

時刻は21時。
いつもよりかなり早く自宅に戻ることができた。


玄関のドアを開けると女性の靴が綺麗に並んでいるのを見て蓮は微笑した。
いつもならパタパタと弾むような足音で迎えに来てくれる足音も今日は聞こえず、蓮は少し寂しく思いながらリビングの扉をあけた。

ソファーの端から見える茶色の髪を見て、寝ているのを確認すると蓮は安堵のため息をつきキョーコの元まで歩いて行った。

「・・ただいま・・キョーコ・・?」
スヤスヤと眠るキョーコの額にキスを落とし、蓮は何気なく置かれているテーブルのDVDのケースを手に取って目を丸くした。

「えっ!」
その声に反応するようにキョーコが身じろぎする。
そんなことにも気がつけないほど蓮は動揺してDVDのリモコンに手を伸ばして動きを止めた。
再生するかどうするか悩みながらキョーコとDVDのケースを交互に見つめる。

・・・・どういうつもり・・なんだ・・
他に好きな人でも・・・・・・って、こと?

不安になりながらあどけない表情で眠るキョーコに再び視線を向けて手にしているリモコンと交互に見比べる。

いや、何か別の意味が?
・・じゃなかったら、俺の家でわざわざこんなDVD見ないだろう・・

そう言いながら蓮は自分自身を落ち着かせるためにいったんリモコンをテーブルの上に戻した。


気を取り直して冷蔵庫に水を取りに行きグラスに水を注いだ。
頭の片隅にはDVDの表紙がチラつき落ち着くことができず再びキョーコの元に歩いて行くと、その顔を覗き込んでため息をついた。
近くに置いてある彼女のバックに何気なく視線を向けるとそこから見えるもう一枚のDVD。

それを見て知らずに手が伸びていた。

「・・ま、まさかな・・」

人の持ち物を勝手に見るなんてダメだと思いながら、どうしても落ち着くことができず蓮は、隙間から見えるDVDを引きずり出してその表紙を見て絶句した。

・・・・どういう・・いや・・
やっぱり・・俺の他に・・・・・・ってことか?


いや、キョーコのことだから誰かに騙されて渡されただけなのかもしれない・・
そう思おうとしたが、そもそもこんなDVDを持っている奴から借りるなんて、そう思うと蓮の心に黒い闇が広がった。

スヤスヤと眠るキョーコの横顔をみて嫉妬心が芽生えると同時に心にグサリと何かが突き刺さった気がして蓮は息を吸うことさえ難しかった。

もし、このDVDの中身が騙されたりしたものではなく表紙と同じだったら、俺は彼女を問い詰めずにはいられない。
スヤスヤと眠る彼女を無理やり起こして、理由を訊かずにいることはできないだろう。

まるで浮気現場を目撃してしまったような心の痛みに蓮は顔をしかめ、恐る恐るDVDの電源を入れた。





*

部屋に響く妖艶な声と、荒い息遣いに、キョーコはゆっくりと自分が覚醒していくのを感じた。

『・・・・・ぁ・・』
その声は悩ましいほど色気を含み、すすり泣きのようにも聞こえた。
時折歓喜の声を上げているのを耳にして、覚醒しはじめた頭が意志とは無関係に飛び起きた。

「やぁ・・キョーコ」
ドス黒いオーラを身にまとい蓮がじっと見つめている。その後ろではさっきまで自分が見ていたDVDが流れていた。

「あ・・えぇ・・っと・・お帰りなさい・・蓮?」
小首を傾げて蓮を見つめる。
なぜ彼がこれほどまでに怒っているのか思い当たることがない。
ただ、後ろで流れているDVDにキョーコは真っ青になっていた。

「あぁ・・あ・・あああの、・・こ、これは・・・ですね・・」

『・・・・ぁあ・・・ダメ・・んっ・・・・』
キョーコが説明しようとする合間に、DVDから悩ましい声が聞こえる。

「・・うん」
蓮の恐ろしいほど無表情な顔になんとなく理由がわかりキョーコはびくびくしながら蓮に視線を向けた。

「あ・・・えっと・・ですね・・」
あまりの怖さに声が出てこない。いつまでも答えないことに一段と訝しく思った蓮がさらに鋭い視線でキョーコを見据えた。

「・・なんで・・敬語なの?・・キョーコ?」
いつもの優しさが微塵も感じられず、背筋にゾクリと冷たい汗が流れてキョーコは言い訳をしたいのに何一つ言葉が出てこなかった。

「・・俺じゃ・・満足できないってこと?」

「・・ち、違います!」
その合間にも再生されているDVDから何度も悩ましい声が聞こえてくる。

『・・・・ふっ・・・ん・・・・あぁあ』

「・・じゃ、どういうつもり?」
射るような瞳が急に寂しそうな表情になってキョーコはびっくりするのと同時にその意味を理解した。

「違うのよ?蓮・・これは・・その・・えぇ・・と勉強・・その台本の・・」
思いがけないキョーコの言訳に蓮は何を言われたのか一瞬理解できなかった。

「・・どういうこと?」

キョーコが指差した方向に視線を向けるとバッグの下に置かれている台本らしきものを引きずり出した。そこには一緒に出ているドラマの6話目の台本があった。

まだ俺の手元には届いていないその台本をパラパラとめくり中を確かめる。

「だから・・その、蓮のことに飽きたとか・・満足・・してない・・とか・・そういのじゃ・・・・ないから・・」
キョーコは恥ずかしそうに顔を赤らめながら上目づかいに蓮を見つめた。






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