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愛していると言いたくて(7)

「京子君・・悪いんだけどちょっと来てくれないか?」
新開監督に呼ばれ、キョーコは読んでいた台本をその場に置いて監督の元へ向かった。

「監督・・どうかされました?」

「あぁ・・ちょっとな・・どうしてもこのシーンのこの部分を変更したいんだけど・・」
そう言って指差したシーンは、岸とキョーコのキスシーンだった。
雨のシーンで衣装などが濡れるため今日最後のシーンとして予定している。

「えぇ・・別にかまわないですが・・何か・・問題でもありましたか?」
このシーンはキョーコが蓮に引かれ始めたので、岸に別れを切り出すシーンだった。

別れのキスシーンで岸の差している傘の中で少し長めにキスをする予定だったが・・
それをどうすると言うのだろう・・

「ぅ~ん・・・撮影を明日にするか・・時間を変更するかにしたくてね・・。このキスシーンを蓮に見られていた。という設定に変更したいんだが・・・・」
何か言い難そうにしている新開監督の様子を黙ってみていると、監督が笑うようにため息をついた。

「・・まったく・・本当に蓮の奴・・苦労するな・・」
監督のつぶやきにキョーコは身をのりだした。

「え?・・ちょっと待ってください・・今の話の流れから・・なぜ敦賀さんが?」

「京子君・・この撮影が始まってから不思議に思ったことがいくつかないか?」
反対に監督に問われ、キョーコは今回クランクインしてからの数日を考えてみた、何も思い浮かばず、新開監督をじっと見つめる。

撮影はいつも通り問題なく進行している。
撮影場所も特殊な環境がないし、スタッフも共演者も別に問題がなかった。

「えぇ・・特に思い当たることは・・」
その応えにさらに落胆したように大きなため息をつかれ、キョーコは困った顔をした。

「まったく・・京子君・・君はすごいよ。・・じゃ・・今の変更箇所については蓮に話しておいてくれるか?・・撮影は明日に変更するから・・」

キョーコはとりあえず頷き、最後に予定していたスケジュールが明日に変更になったことしかわからなかった。




*

ドアの開く音が聞こえ、キョーコはリビングから玄関へ向かった。



蓮は部屋に入るとすぐに玄関にある小さな靴を見つけて優しく微笑んで、その主が現れるのを待っているとパタパタと足音が聞こえてきてリビングのドアが開いた。


「お帰りなさい?・・ちょっと用事があってお邪魔していたの・・」
キョーコの笑顔と甘い香りが現れると蓮は一日の疲れが取れた気がした。

「君だったらいつでも大歓迎だと何度言えば分るのかな?・・ただいま・・キョーコ・・嬉しいよ、遊びに来てくれて・・このままここに住んでくれても構わないよ?」
本気とも冗談ともとれる挨拶に、キョーコは恥ずかしそうに微笑んで蓮の胸にポテッと頭を預けた。

そんなキョーコの行動に髪をなでながら抱きしめて、頬に手を滑り込ませた。

「キスさせて・・キョーコ」
そう言ってすでに蓮は彼女の唇に軽く触れ、何度か味わっていた。

「・・ただいま」
名残惜しそうに蓮がキョーコの頬へキスを送るとキョーコはその頬を押さえて上目づかいに蓮を見上げた。

「蓮・・あのね?」

「ん?」

「明日の撮影シーンが変更になったからそれを伝えに来たの・・」

「ん?・・なんでキョーコから?」
蓮はキョーコを抱きしめていた手を緩めてキョーコを連れてリビングに入った。

「ん・・実はそれについても訊きたいと思って・・」
その一言で蓮はピンとくるものがあった。

「もしかして今日の撮影シーンが延期になった?」
その一言にキョーコは驚いて瞳を丸くした。

「そ、そうよ?・・すごい!なんでわかったの?」
質問と同時に蓮がため息をつくと、キョーコはまるでデジャブのようなその景色の流れに不安を覚えた。

・・・・あれ?
・・なんかこのため息のつき方・・どっかで見なかった?


「キョーコ・・本当に気が付かないんだな・・」
何のことかさっぱりわからず、キョーコは可愛らしく小首をかしげただけだった。

「そう、じゃ今までの撮影で俺の休みが何時だったか思い出せる?」
キョーコはそれならわかるわ といって嬉しそうに答え始めた。

「クランクインした翌日・・この日は終日撮影現場には来なかったですよね?・・・後は・・そうだ!・・確か先週私と岸さんの付き合い始めのころの回想シーンを撮っていた時・・それと・・昨日の午後と今日は終日・・・・」
何かが引っかかった気がして言葉をとめたが、考えがまとめられず話を終わらした。

「じゃ、俺がいなかったときに撮ったシーンは・・どんなシーンだった?」

「撮影2日目は岸さんとのベッドシーン・・・・先週は岸さんと交際を始めたきっかけになったシーンでキスシーンやらベッドシーン・・・・今日も・・・・」
そこまで話してキョーコはやっと気が付いた。


「れ、蓮・・・・もしかして・・その・・・・」
宙を見据えて考えこんでいた視線を蓮に向けると、複雑な表情でキョーコを見つめている蓮の視線と重なった。

「もしかしなくても・・そうだよ・・」
苦笑して蓮がキョーコを後ろから抱き寄せる。
耳元で囁くように蓮は話を続けた。

「君が他の男に触れるのも、触れられるのも・・演技とはわかっていても耐えられなくてね・・」

「・・ぅ・・・・で、でも『私』に触れられるのは、蓮だけよ?」
耳まで真っ赤になりながらキョーコが小さな声でつぶやくと蓮は抱きしめていた腕に力を入れた。

「・・・・知ってるよ・・」


それでも・・やっぱり・・心が拒絶するんだ・・

君が他の男に触れられていると思うと、息ができなくなりそうで、きっとひどい顔をしているに違いない。

まだ、撮影シーンで一緒なら役者として諦めがつくんだが・・・
舞台のそでからそんなシーンを見せられて『俺が』冷静でいられる自信はなかった。

「変更になったシーンて言うのは・・今日のキスシーンだね?」

「・・・・うん・・」

「はぁ・・わかったよ・・」
抱きしめていた手に自然と力が入る。

「蓮?・・・・その・・今日は泊まっていっても・・・・良い?」

「え?」
思いがけない言葉に蓮は意味もなく訊きかえした。

「えぇ・・っと・・その・・・・一緒にいたいな・・と思って・・ダメ・・・・かな?」

またしてもこんなに可愛いセリフを絶妙なタイミングで言ってくる。

今日は帰したくないと言うはずだった自分の言葉が、願望の通りの言葉になって返ってくるなんて・・


「・・今日は・・優しくしてあげられそうにないけど・・キョーコ」
艶のある声が耳元で囁くとキョーコが恥ずかしそうに笑みを浮かべながら振り返った。



「・・・・いいですよ?・・」

へにゃと恥ずかしそうに笑った彼女の笑顔に心臓がわしづかみされる。


あぁ・・だめだ・・
もうこれ以上好きになれないと思っていたのに


俺はこの笑顔に弱すぎて自分を見失いそうだ・・



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