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仮面(6)

最近、敦賀さんの私に対する態度が変わった気がする。
どこが?って言われても分からないけど・・・。
雰囲気だとか、ふとした仕草だとかそんな曖昧なもの。
だけど、それを気にしている私は・・・・・
確実に敦賀さんの事を考えてる時間が多くなったと思う。
それがどういう事なのか
今は分からない。



仮面(6)




「野郎共!昼飯を食べたらそれぞれ自由行動だ!ラブミー部のふたり、昼食の準備を手伝ってくれ」

「「はい」」

という訳で。
本当にLME社員全員で社長のプライベートビーチのある別荘へとやってきた。
「やる」と言ったらやる人だから、誰も何も思わないけど。
よく考えれば凄いことだと思う。
多くの人で賑わう別荘で、相変わらずの衣装を着た社長のが挨拶なのか号令なのか分からない一言で、着いて早々私とモー子さんは早速「お仕事」に取り掛かることになった。

「ていうか、あんたさぁ、本当に所帯臭いわね」

「え?なんで?」

50人分の昼食を社長が連れてきたコックさん達と共に手際よく作っていると、モー子さんが呆れたような感心した様な声を出した。

「普通50人分もの食事、そんな手際よく作れないわよ」

「そうかなぁ?」

モー子さんは出来上がった料理をひたすら運んでいるせいか、少しぐったりし始めていた。
思い出したくもない過去の経験で、こんなくらいはなんて事ない私はガッツポーズを見せた。

「モー子さんも慣れれば作れる様になるよ」

「慣れたくないし作りたくもないわよ!」

噛み付かんばかりの勢いで反論されて、私は閉口してひたすら料理に没頭した。
ダイニングと呼ぶには広すぎるホールに私とモー子さんが姿を見せたとき、そこはすでに一流芸能人と呼ばれる人達が食事を始めていた。
私の視線は無意識に泳ぎ、敦賀さんの姿を探していた。

「あ・・・」

窓際一番奥にその姿を見つけた。
だけどその周りは、すでに数人の女優さん達に取り囲まれていた。


考えれば当たり前の事。
事務所の看板俳優の敦賀さんと一緒に食事できる機会なんてそうないから。
みんな競うように敦賀さんの傍にいた。
駆け出し新人タレントの私がおいそれと近づける人じゃなかったんだ・・・・。

今更ながらに思い知らされた気がした。

「キョーコ?どうしたの?」

ホールの入り口でぼーっと突っ立っている私を不審に思ったモー子さんが顔を覗き込んだ。

「ううん、なんでもない。それにしても結構な人数だなって思ってただけ」

はっとして笑顔を作った私にモー子さんが「何を今更」と呆れた顔をした時だった。

「おーい!キョーコちゃん、琴南さん!」

ダイニングの一角からこちらに向かって手を振る社さんが見えた。
社さんはLMEスタッフの人達と一緒に昼食をとっていた。

「お疲れ様。着いて早々大変だったね」

誘われるまま社さんの隣に座ると、いつもの笑顔で社さんが話した。

「いえいえ、これもお仕事ですから」

答えながら思った。

社さんにとってマネージャーは天職だなと。
何気ないねぎらいの言葉とか人を和ませる笑顔とか。
社さんと話してると、ほっと肩の力を抜くことが出来ると思った。
モー子さん、社さんと会話をしながら昼食を取っていると、奥の方から甘ったるい声が聞こえてきた。

「ねぇ、敦賀さん。お昼からは海に行きませんか?」

声の方を見れば、昼食を終え席を立った敦賀さんの腕に絡みつくようにしなだれかかった女優さんが目に入った。

敦賀さんはそっと腕を解き笑顔で答えた。

「せっかくのプライベートビーチだからね。そのつもりだよ」

「じゃあ私も!ご一緒していいですか?」

「え~ずるい!私も!」

周りにいた女優さんたちが口々に声をあげ、敦賀さんは苦笑しながらそれを受け流していた。

そしてふっとこちらを見た。

少し離れた席にいる私と視線が合うと、敦賀さんはそっと親指で窓の外をヒョイヒョイと指して口ぱくで「あとでね」と伝えていた。

それはあの水着を見せてって事なんだろう。
私はテレながらもコクンと頷いた。
それを見た敦賀さんは笑顔を残してホールから出て行った。

「キョーコ、あんた何ひとりでニヤニヤしてんのよ。気持ち悪いわよ」

モー子さんにそう言われるまで、自分がずっとニコニコしながらご飯を食べている事にも気づかなかった。

「疲れた!」

後片付けを終え割り当てられた部屋に入ると、モー子さんはボスッとベットに座り込んだ。
私はそんなモー子さんに目もくれず、いそいそと着替える準備をしていた。

「なによ、あんた。もう海に行く気?」

「え?モー子さんは行かないの?」

私たちが後片付けをしている間に敦賀さんは海に行ってしまったはず。
早く追いつきたくて、休憩する時間なんて勿体無かった。
座ることもせず、水着に着替える私をモー子さんは呆れた様に見ていた。

「行かないわよ、あんた紫外線だらけのところなんか」

「え~・・・だってせっかくの海なのに・・・ほら!こうしてパーカーとか羽織ってパレオ巻けばそんなに日焼けしないと思うんだけど」

そんな事を言いながら、パレオもパーカーも敦賀さんが用意してくれたもの。
あの日、家に帰って袋を開けると水着と一緒に日よけ用のパーカーまで一緒に入っているのを見て、申し訳ないやら感心するやら・・・。

もう敦賀さんに「恥ずかしいから」と言って水着姿を見せない・・・なんて事は出来ないと思った。

着替えを終えた私の姿をモー子さんがじぃっと見ていた。
あまり熱心に見つめるから少し不安になった。

「え?なに?モー子さん・・・・どこか変?」

「いや・・・あんたにしちゃ洒落た水着だなぁって思って。で?それどうしたの?」

「どうした・・・って・・・・そりゃ・・・買ったのよ?」

まさか敦賀さんに買ってもらったとは言えず、しどろもどろになりながら答えた。
そんな私にモー子さんは「ふ~ん」と何やら意味ありげに頷いた。

「ま、さっさと行ってきたら?あんた急いでんでしょ?」

「別に急いでる訳じゃ・・・・」

「よく言うわよ。鬼気迫る勢いで後片付けしてたくせに」

「そんな事・・・・・」

確かに早く片付けたい一心で猛スピードで洗い物をしてたけど・・・・。
別に早く敦賀さんに水着を見せたいから・・・って訳じゃないのよ?
ただ早くしないと敦賀さん・・・どこか行っちゃうかもしれないし?
そうしたらせっかく買っていただいた水着を見せれないじゃない?

と心の中で言い訳をしていた時。

「いいから早く行ったら?見せたい人がいるんでしょ?」

ベットに座り込んだままのモー子さんが手をひらひらと振りながら言った。

モー子さんにはお見通しだったのかも・・・・。

図星を言い当てられて、私は真っ赤になりながら叫んでいた。

「そっ!・・・そんな人いないわよっ!じゃ、いってきます!!」

勢い良く部屋を飛び出した。



さくっさくっと砂浜を踏みしめながらビーチに向かっていた。

(えっと・・・どこも変じゃない・・よね?パレオってこうやって結んでいいのよね?水着ねじれてないわよね?)

もう何度もそうして自分の姿を確認しながら敦賀さんを探していた。
ドキドキするような照れくさいような。
早く敦賀さんを見つけたいのに、恥ずかしくて見つけたくないような。

そんな気持ちで歩いていると向こうに敦賀さんの姿を見つけた。

「あ!・・・つるがっ・・・・さん・・・」

一瞬の笑顔が引き攣った。
敦賀さんはひとりじゃなかった。
ホールで一緒だった女優さん達に囲まれていた。
しかもみんな惜しげもなく魅惑的な身体を晒していた。
私のようにパーカーを羽織っている人や、ましてパレオを巻いてる人さえも居なかった。

「敦賀さん、一緒に泳ぎましょ」

「えぇ~、私と一緒にお散歩しましょうよ」

次々と敦賀さんの腕をとってそれぞれお誘いをしていた。
その中心で敦賀さんは苦笑していた。

「でもホラ。風が出てきたらそろそろ部屋に戻った方がいいんじゃないかな?海も荒れてきたし」

「いま来たばっかりじゃないですか」

「じゃあ敦賀さんのお部屋にお邪魔してもいいですか」

敦賀さんの言葉に、ますます周りは身体を押し付けるように敦賀さんを取り囲んだ。

近づけない・・・・。

ホールで感じた以上に自分と敦賀さんとの間に距離を感じた。

あんなに綺麗で魅惑的な女性たちの中になんか入っていけなかった。
それに、水着をプレゼントされたからってなに舞い上がっていたんだろう。
こんな私の水着姿なんか見なくたって、敦賀さんの周りにはもっと見て楽しませてくれる人達がいっぱいいるじゃないか・・・。

いそいそとここまで来た自分が急に恥ずかしくなった。
そのままそこにいるのが嫌で、私は目の前の海にジャブジャブと入っていった。

(そうよ!海に来たんだから泳がなくちゃ。せっかくの海なんだから!)

ここに来た理由を強引に自分に納得させようとしていた。

(水着は見せるためのものじゃないんだから!そうよ!泳ぐためなんだから!)

ムキになりながら必死で海の中を進んでいた。

そして足が着かなくなる程沖まで来てはっと気づいた。

(あ・・私、パレオもパーカーも着けたまま・・・泳ぎづらい・・・)

パレオが足に纏わり着き、パーカーが水を含んでかなり重くなっていた。
ようやく冷静になった私は岸に戻ろうと方向を変えた時だった。

「キョーコちゃんっ!!」

こちらに向かって泳いでくる社さんが見えた。
社さんは私の傍まで来ると息を弾ませながら私の手をとった。

「どうしたの?キョーコちゃん。ビーチに出たらパーカー羽織ったままのキョーコちゃんがすごい勢いで海に入って行くのが見えたからびっくりしたよ」

私の手をひいて足が着くところまで泳いでくれた社さんが私に向き直った。

「なにかあったの?」

心配げな社さんに申し訳ない笑顔を向けた。

「あの・・・別に・・・ただ、海を見たらテンション上がっちゃって・・・」

間抜けな言い訳をする私に社さんはほうっとため息をついた。

「なんだ・・・もうキョーコちゃん、入水自殺する勢いだったから・・・」

「そんな!そんなつもりないですよ」

そう言ってお互い笑った時だった。
社さんの顔が一瞬で強張った。

「キョーコちゃんっ!危ない!!」

そう言って社さんが私を抱きしめるのと、後ろからもの凄い勢いで押し倒されるのが同時だった。
その直後、海中で自分の身体が上へ下へと揉まれ、訳が分からずパニックに陥っていた。

(なに?!何が起こったの?苦しい・・・・・)

息が出来ず、もがこうとしてもパレオとパーカーが纏わり着いて上手く手足を動かせなかった。

波の中で揉みくちゃにされながらも力強い腕が私を放さず、ずっとかばう様に抱きしめてくれているのを感じながら私は海の中で意識を閉じた。





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