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仮面(4)

『かわいい後輩だと思っています』

ただの後輩・・・・

それがお前の本心じゃないことくらい分かっている。

何がお前の本心を隠そうとするのか知らない。

だけど・・・蓮・・・

そうやって動こうとしないお前に遠慮なんてしない。

本気で欲しいと思った女性(ひと)だから。




仮面(4)



『青山の・・・・・』

最上さんが告げた店名に心当たりがあった。

あれは、まだ俺が社さんの想いなど知らなかった頃だ。

次の現場への移動中、信号待ちでたまたま目にした店を社さんは食い入るように見つめていた。

普段なら移動中もスケジュール調整や現場での細かな手配などで手帳を見つめている社さんにしては珍しいと思い声をかけた。

「どうしたんですか?社さん。あのお店になにか?」

「いや・・・雰囲気の良さそうな店だと思って」

「確かに。社さんはああいう雰囲気の店ってよく行くんですか?」

「残念ながら一緒に行ってくれる人がいないから」

「社さんなら誘えばひとりやふたりいるでしょう」

「お前じゃないんだから・・・・。でも・・・そうだな。本気で好きになった子をああいう店に誘って食事とかしたいもんだな」

「本気で・・・ですか・・・」

あの時、社さんが本気で人を好きになればきっと落ちない女性などいないだろうと思った。

だけど、社さんの本気がまさか最上さんとは・・・・。

そして社さんは今、確実に最上さんにアプローチし続けている。

俺は・・・・・

俺はもう傍観者じゃいられない。

俺も本気だから。

最上さんを誰にも渡したくない。

たとえそれが信頼する社さんだとしても!

俺はステアリングを強く握り締め、自分の決意を固めた。

「すいません!敦賀さん。わざわざ来ていただいて・・・・」

「俺が勝手に来たんだし。そんなに何度も頭下げなくていいから。」

俺が着くと同時に店から飛び出してきた最上さんは、車に乗り込んでも尚恐縮していた。

「そうだよ、キョーコちゃん。もとはと言えば蓮の仕事がらみでキョーコちゃんに付き合ってもらったんだから、送るくらいしてもらっていいんだからね。じゃあ、キョーコちゃん先に送っていくから」

「そんな!私は後でいいですよ。社さんの方がお疲れでしょうから、先に社さん家に行ってください」

「いいんだよ、キョーコちゃん。俺は蓮に話があるから」

そう言って社さんは俺をちらっと見た。

俺はその視線の意味を理解していた。

「では・・・お言葉に甘えて・・・」

きっと社さんの話というのは仕事の事だろうと理解している最上さんは漸く納得したようだった。

「じゃあ最上さん、今度今日見たショーの感想聞かせて」

「はい、分かりました!今日はわざわざ送ってもらってすいませんでした」

「キョーコちゃん、おやすみ!今度また一緒にご飯食べに行こうね」

「はい、喜んで!ではおやすみなさい」

最上さんの下宿先で彼女を降ろし、窓越しでの会話だった。

ぬかりなく今度の食事の約束するあたり、さすが社さんだと思った。

しかも最上さんは何の警戒心も持っていない。

以前俺が想像した通りに事が運んでいる気がした。

「おやすみ」

その行動は俺の焦りからでたものかもしれない。

ぺこんと礼儀正しく頭を下げた彼女に、俺はとっさに触れていた。

さらりとした心地いい感触を一瞬だけ感じて、何もなかった様に車を出した。

普段の俺ならまずしない行動にきっと彼女は戸惑っているかもしれない。

だけど今日一日の記憶の中に、社さんと過ごした時間より俺が触れた一瞬をとどめて欲しかった。

「お前・・・まさか嫉妬してるのか?」

走り出した直後、先ほどまでの朗らかさを全く感じさせない声で社さんが言った。

「嫉妬・・・というか焦りは感じてます」

「焦り?なんでお前が?」

「最上さんと社さんが一緒にいて違和感を感じなかったから・・・ですかね」

注意深く俺を見ていた社さんの表情が、俺の答えを聞いて険しくなったのを感じた。

「・・・どういうつもりだ?蓮・・・キョーコちゃんはただの後輩なんだろ?」

「社さん、これから俺のマンションで話しませんか?」

「いいよ。俺もお前とゆっくり話したいと思ってたから」

妙な緊張感を持ったまま、俺たちはマンションに到着した。

リビングのソファにお互い身を沈めながら、俺はこんな風に気まずい思いをしながら社さんと向き合ったのは初めてだと思った。

話がしたいと言いながら、お互い何から話せばいいかしばらくの沈黙が続いた。

最初に口を開いたのは社さんだった。

「蓮、あの店のこと覚えてたんだな」

「ええ、社さんがすごく熱心に見てた店だったので。俺、あの時『この人にかかれば落ちない女性はいないだろう』と思ったから覚えてたんです」

「かいかぶりすぎだろ」

社さんはそう言ってふっと微笑んだ。

だけどすぐに真剣な顔をして俺を見た。

「あの時の会話を覚えてるんなら分かるだろ?俺がキョーコちゃんに本気だって。だったらなんで邪魔する様な事をするんだ?」

小細工などない、ストレートな質問だった。

俺は一度ぐっと握りこぶしに力を入れて、まっすぐ社さんを見て答えた。

「守りたいんです、彼女を。誰にも渡したくない」

「・・・それは先輩としてか?」

「いえ、ひとりの男として」

きっぱりとそう答えた俺の顔を社さんは表情を変えず、じっと見つめていた。

そしてふっと笑って視線を外しながら呟いた。

「やっと本音を言ったな」

「やっぱり・・・ばれてましたか」

緊張していた空気が和んだのを感じ、俺も微笑みながら答えた。

「当たり前だ。だてにお前のマネージャーしてないよ」

社さんはそう言って、少し冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。

そしてため息を吐きながら天井を仰いだ。

「あ~あ、よりによって敦賀蓮がライバルとは・・・・。俺、日本一の勇者になった気分だよ。だって『日本一抱かれたい男No,1』だろ?」

「それは俺だって同じですよ。よりによって社さんとは・・・。それに彼女相手にその肩書きは通用しないでしょ。むしろマイナスポイントですよ」

「そうだな・・・お互い難しい子を選んだよな」

「全くです。その上最強のライバルもいるんですから前途多難ですよ」

「ほんとだな」

俺たちはお互い顔を見合わせ苦笑した。

そして社さんは時計を確認して立ち上がった。

「じゃ俺そろそろ帰るよ」

「なら送ります」

俺も車のキーを持って立ち上がろうとすると、社さんが俺の肩を押してとどめた。

「まだ電車がある時間だからいいよ。お前、明日も朝から撮影あるんだからしっかり休め。休めるときに休む。これ俳優の基本だろ」

そう言って俺を見る社さんはすっかり『マネージャー』の顔をしていた。

「わかりました。じゃお言葉に甘えさせてもらいます」

「うん、よろしい。じゃあ蓮、また明日迎えにくるから」

「はい、お疲れ様でした」

「お疲れ」

そう言って社さんは後ろ手に手を振って玄関を出て行った。

これで後戻りは出来なくなった。

社さんと同じフィールドに俺も立った。

これから先は俺次第だ。

俺も遠慮なんかしない。

社さんの本気に俺なりの本気で答えていく。



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