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仮面(3)

「キョーコちゃん、大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「はぐれない様に俺の手、掴んでて」

「すいません、社さん」

ファッションショーの会場は、想像していたよりも人でごった返していた。
私は人混みを縫うように進む社さんを見失わない様に、ただ言われるがまま手をとった。
瞬間、予想以上にぎゅっと社さんが握り返してくれたから・・・・
私は初めて社さんも男の人なんだと感じた。





仮面(3)





「はぁ・・・・」

ショーが終わっても、うっとりとしたまま感嘆のため息ばかりをつく私に社さんは苦笑した。

「キョーコちゃん、ショー見るの初めてなの?」

「はい!テレビでは見たことあったんですけど、やっぱり生で見ると全然違いますね!服もモデルさんも、もうすっごく素敵で!」

「キョーコちゃんもそのうちショーにゲスト出演とかしたりしてね」

「そんな!私なんて無理ですよ!!」

「なんで?キョーコちゃんかわいいから絶対出来ると思うけど」

「社さん・・・・最近敦賀さんに似てきたとか言われませんか?・・・」

「ん?言われないけど?なんで?」

「いえ・・・・」

知らなかったわ・・・。

社さんも恥ずかしい事をさらっと言える人だったんだ・・・。

日本人って、あんまり面と向かって「かわいい」とか言わないもんなんだけど・・・・。

最近の日本人は食事だけじゃなく性格まで欧米化してきてるのね。

そんな事を頭の中で考えていると、社さんが席を立った。

「そろそろ出ようか?出口もだいぶ落ち着いてきただろうし」

「はい」
社さんに促され会場を出ると、社さんは駅の方向とは反対の方向へ歩き始めた。

「あれ?社さん、駅ならこっちですよ?」
少し前を歩いていた社さんに駆け寄りそう言うと、社さんはにっこり答えた。

「たぶん今は駅が人でいっぱいになってると思うからタクシー使おう」

「えぇっ!そんな勿体無いですよ!私人が多くても平気ですから!」
普段自転車を愛用している私にとっては、電車で移動できるだけでも有難い。

タクシーなんて贅沢だ。

社さんのスーツの端を掴んで駅へと向かおうとすると社さんが困ったように言った。

「う~ん・・・でももうタクシー待たせてあるんだよね」

「え?社さん・・・いつの間に・・・・」

「ショーが終わる時間に迎えに来てもらう様に頼んでおいたから」

「そうだったんですか!では早く行きましょう!!」

ショーが終わってすでに30分は経っている。
その間もタクシーの料金メーターは動いているはずだ。

こんなところでのんびりしていては勿体無い!!

私は駅に向けていた身体を180℃回転させて早足で歩き始めた。

「キョーコちゃん、そんなに急がなくてもタクシーは待っててくれるから」

「いいえ!もう1分1秒たりと待たせてはいけません!」
のんびりとしている社さんを半ば引き摺るように私たちはタクシーに乗り込んだ。

「青山まで」

「えっ?社さんどこかへ行くんですか?」

社さんが告げた行き先に私は心当たりがなかった。
走り始めたタクシーの中で首を傾げると、社さんがにっこり微笑んで言った。

「キョーコちゃん、お腹空いたでしょ?せっかくだからご飯食べて帰ろう。俺がずっと行きたいって思ってたお店につきあってもらえる?」

「ええ、もちろんいいですよ」
ショーを見た後の興奮のせいで気付かなかったけど、夕ご飯にはちょうどいい時間帯。

程よく空腹を感じた。

(社さんが行きたかったお店ってどんなところだろ?すっごくおいしいラーメン屋さんとかかな?)

そんな想像をしていた私はタクシーを降りて案内されたお店を見て思わず声をあげた。

「えぇ?!社さん、このお店に入るんですか?!」

「うん、そのつもりだけどキョーコちゃん、イタリアン嫌い?」

「そういう訳じゃないんですけど・・・・」

そのお店は見るからに雰囲気の良さそうなお店。
入るのに多少ためらいを感じる。
店内を見れば、カップル達で賑わっていた。

「でも社さん、かなり混んでるし待ってらっしゃる人も居ますよ?」

「うん、大丈夫だから」

そう言うと社さんはお店に入っていってしまった。
慌てて後についてお店に入ると、社さんは受付でお店の人と話しているところだった。

「予約していた社ですが」

「社様ですね。お待ちしておりました」

そうしてお店の人に案内させるまま席について、私は思わず感心してしまった。

(さすが社さんだわ・・・。だてに敦賀さんのマネージャー担当してないわ)

今日一日、本当にスムーズに行動していると思う。

見た目ほんわかしている社さんだけど、やっぱり『出来る人』なんだと改めて思った。

そしてふと疑問に思った事をそのまま口にした。

「社さんって恋人とかいないんですか?」

「ぐっ・・・・キョーコちゃん唐突だね」

口にしていたサラダを社さんは噴出しそうになりながら必死で飲み込み答えてくれた。

「いたらその恋人をこのお店に連れてきてるよ」

「そうですよね。じゃあ今は仕事が恋人ってところですか?」

「いや・・・それは遠慮したいね。俺の場合、仕事となると蓮と一緒だろ?仕事が恋人なんて言ったら下手すりゃ蓮が恋人になりかねないからね」

「ふふっそれもそうですね」
そんな風に会話を楽しみながら食事もそろそろ終わる頃だった。

「あっ・・・」

背もたれに置いてあったバックが微かに振動している事に気付いた。
慌てて中を確認すると、携帯が着信を知らせていた。

「電話?」

「はい、ちょっとすいません」

社さんに断りを入れて席を立った。

「はい、最上です」

『もしもし?俺だけど』
エントランスまで来て電話に出ると相手は敦賀さんだった。

「敦賀さん!お疲れさまです」
目の前にいないにもかかわらず、条件反射のように頭を下げた。

『今日は悪かったね。もう家に着いた頃かなと思ってね』

「全然悪くなんてないですよ!ショーは凄く素敵でした!それで今、社さんに食事に連れてきて頂いてるんです」

『社さんと?・・・・・そう・・・』
なぜか少し沈んだような声がして敦賀さんは黙ってしまった。
不思議に思って声を出そうとした時だった。

「あの・・・つるが・・・」

『なんていうお店?』

「えっ?」

『今どこに居るの?』

「青山の・・・・」

店名を告げると敦賀さんはとんでもない事を言った。

『今から迎えにいくからそのままそのお店にいて』

「えええっ?!そんな!いいですよ、敦賀さん!!」

『15分で行くから』

そう告げて敦賀さんは電話を切ってしまった。

(ど・・・・どうしよ・・・・敦賀さんを呼びつける形になっちゃった・・・それに担当俳優をタクシー代わりに使うなんて社さんになんて説明すれば・・・・)

そう思いながらもとぼとぼと席に着いて事情を社さんに説明すると、社さんは一瞬真剣な顔つきになった。

(や・・・やっぱり社さん怒ってるんだ・・・)

そう思ってぎゅっと目を瞑った私の耳に聞こえてきたのは、いつも通りの社さんの朗らかな声だった。

「いいんじゃない?本人が来るって言ってるんだったら」

「え?」

「実はさぁ、帰りは電車にするかまたタクシー呼ぶか迷ってたんだけど、ちょうど良かったよ」

「・・・そうですか」

私はそう答えたけど腑に落ちないものを感じた。

(あの一瞬の間はなんだったんだろ・・・・)

だけど私には、その一瞬で社さんが何を感じ、そして敦賀さんが何を思い店に向かってるかなんて思いもよらなかった。



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