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仮面(2)

「すごいよ!キョーコちゃん!!どれもこれもすごくおいしいよ!」

「ありがとうございます、社さん」
感激した様に涙を流しながら、私の作った料理をおいしそうに食べてくれる社さんに笑顔を向けながらも、私は敦賀さんの事が気になっていた。

いつもなら、多くを食べてくれる訳ではないが決して残す事はしない敦賀さんが、さっきからあまり箸が進んでいないようだ。

(なにか敦賀さんの口に合わなかったのかな・・・・)

そう思うと、気分が少し落ち込んだ。



仮面(2)

  


「敦賀さん、何かお口に合わないものがありましたか?」
社さんとは対照的な敦賀さんの態度がどうしても気になって、私は思い切って聞いてみた。
すると敦賀さんは、弾かれたように顔をあげた。

「あ・・・そんな事はないよ。どれもおいしいよ」

「それなら良かったです」
少し作った様な笑顔を浮かべながらの敦賀さんの言葉に、ひっかかるものを感じながらもとりあえずはほっとした。

そう何度も敦賀さんに食事を食べていただける機会があるわけじゃないから、こんな時は少しでも食事を楽しんでもらいたいと思う。

私が不安そうにしていたからか、社さんがフォローするように口を開いた。

「キョーコちゃん、気にする事ないよ。今日はちょっとスケジュールきつかったから、蓮の奴、疲れてるだけだよ」

「そうだったんですか。でしたら、もう少し胃に優しいものを作った方が良かったですね」

「大丈夫。本当にどれもおいしくいただいてるから」

そう答えて敦賀さんは、いつもの様にもくもくと食事を進めた。

(少し図々しかったかも・・・)

お疲れの敦賀さんのお宅に押しかけた事を今更ながらに後悔していた。

「ごちそうさまでした」
全ての料理が綺麗になくなった事に気分を持ち直し、後片付けに掛かろうとした。

「では、ちゃちゃっと片付けてしまいますね」
お疲れの敦賀さん宅に長居は無用だと思った。
私が立ち上がると、社さんも同じように立ち上がった。

「俺も手伝うよ」

「そんな!社さんはゆっくりしててください」

「でも作ってもらったんだし、片付けくらい手伝うよ」
そう言って社さんは食器を運び始めた。

「じゃあ俺も手伝うよ」
そう言って今度は敦賀さんまで腰をあげた。

「敦賀さんまで!そんな!!いいですよ!敦賀さん、疲れてらしゃるんですから本当にゆっくりしててください!」
敦賀さんが手を伸ばした食器を素早く片していると、社さんがキッチンから戻ってきた。

「蓮、俺が手伝うからお前は座ってろって。お前にまで動かれるとキョーコちゃんが気を遣うだろ。ね?キョーコちゃん」

「はい!では社さんにお手伝いしていただきますから、敦賀さんは座っててください」
そう言った私に、なぜか敦賀さんは複雑そうな顔をして社さんを見ていた。

「じゃあ・・・ふたりにお願いしようかな」
渋々と言った感じで敦賀さんがそう答え、私と社さんはキッチンへと向かった。
広いキッチンは社さんと並んでも十分なスペースがあった。
私が洗ったお皿を洗い流しながら社さんが言った。

「ねぇ、キョーコちゃん。ファッションショーとかって興味ある?」

「ファッションショーですか?もちろん気になります」
煌びやかで華やかなステージは夢の様な舞台だと思う。

そこで目にする服はなかなか買えるようなものではないけど、見てるだけでも充分楽しめるものだ。

「実はさ、蓮の仕事の関係でショーのチケットを頂いたんだけど、それがさぁ、女の子向けのショーで蓮が行くにはちょっと・・・」

「それは行けないですよね」

若い女性がわんさかいる会場に敦賀さんなんかが行けばどうなるか・・・・。

想像しただけで思わず顔がひきつる。

「でさぁ、仕事上顔を出さない訳にもいかなから俺だけでも行こうと思うんだけど、俺もさすがに女性向けのファッションショーにひとりで行くのは勇気がいるからさ、良かったらキョーコちゃん一緒に行ってくれないかな、と思って」

「私なら大歓迎です!ぜひ、ご一緒させてください」
テレビでしか見たことのないあのステージを、間近でしかもタダで見れるなんて!
浮かれて返事をした時だった。

「随分楽しそうだね」
いつの間にか、キッチンの入り口に敦賀さんが立っていた。

いつもなら見守る様に微笑みながら言葉をかけてくれる敦賀さんが、この時ずいぶん真剣な表情をしていた事に違和感を感じた。

「敦賀さん・・・・」

「というわけだから蓮、ショーには俺とキョーコちゃんで行ってくるから」
私が口を開くのと、社さんが敦賀さんに話しかけるのが同時だった。
敦賀さんは一瞬ぐっと口を引き締めてから、私に話しかけた。

「ごめんね、最上さん。俺の代理の様な事をさせて」

「そんな!敦賀さんの代理なんて務まりません!それに誘って頂けてすごいラッキーですから」

「そう・・・・。もし何かあったらすぐ俺に連絡して」

「えっ・・・?なにかって・・・・」
ただファッションショーを見に行くだけである。
しかも社さんも一緒だというのに、わざわざ敦賀さんに連絡する事などあるだろうか。
私が戸惑っていると、社さんが苦笑しながら敦賀さんに言った。

「おいおい、蓮。何を心配してんだ?キョーコちゃんひとりならともかく俺も一緒に行くんだから」

「えぇ・・・そうですよね」
そう言って敦賀さんは曖昧に微笑んでいた。

「じゃあ、そろそろ帰ります」
後片付けを終え、早々に帰ろうと声を掛けた。

「じゃあ俺も帰るか。キョーコちゃん、一緒に出よう」

「ふたりとも送ってくよ」
社さんとふたりで帰り支度を始めると、敦賀さんが車のキーを手に立ち上がった。

「いいですよ、敦賀さん。まだ電車はありますし、敦賀さんはゆっくりお休みください」

「そうだぞ、蓮。ふたりも送ってたら結構遅くなるだろ。キョーコちゃんはちゃんと俺が送ってくから。お前は明日に備えてさっさと寝ろ」

「社さん・・・・」
敦賀さんはなにかを言いかけて口をつぐんだ。

「お邪魔しました。お疲れのところに押しかけてしまい、申し訳ありませんでした」
玄関で深々と敦賀さんに頭を下げた。

そして頭をあげた私の目に飛び込んできたのは、いつもの様に優しく微笑んでくれる敦賀さんの笑顔だった。

「押しかけるなんてとんでもない。料理おいしかったよ。また作りにきてくれるかな?」

「もちろんです!」
ずっとどこか様子のおかしかった敦賀さんが最後に見せてくれた笑顔が嬉しくて、思わず力いっぱい答えてしまった。
敦賀さんはくすっと笑いながらも、どこか少しだけ不安げに私を見た。

「じゃあ気をつけてね」

「はい」

「じゃあな、蓮。また明日な」

「はい。社さんもお疲れ様でした」
そうして私は社さんと共に敦賀さんのマンションを後にした。
社さんと共に歩きながら、ずっと気になっていた事を社さんに聞いてみた。

「社さん、今日敦賀さん、お仕事でなにかあったんですか?」

「ん?特に何もなかったけど・・・どうして?」

「敦賀さん・・・・様子がおかしかったですから。ただ疲れてるっていうのとはちょっと違うように見えたので・・・」
敦賀さんの様子を思い出し、考え込みながら歩いていると急に社さんが足を止めた。
それに気付いて私も立ち止まり、社さんを振り返った。

「社さん?」

「気になる?」

「え?何がですか?」

歩みを止め、真っ直ぐに私を見ながら社さんが問いかけるので戸惑ってしまった。

首を傾げる私に社さんは一歩近づき、真剣な表情でもう一度私に問いかけた。

「蓮の態度がそんなに気になる?」

「そんなに・・・って言われてもどれだけか分かりませんが、いつもと様子が違う人がいれば

誰でも気にかかりますよ?」

「・・・・そうだよね」
私の答えに社さんはいつものにっこりスマイルを浮かべ再び歩き始めた。

「キョーコちゃんは誰に対してもそうなんだよね」

「はぁ・・・まぁ・・・」
社さんが何を考えあんなに真剣な表情をしたのか分からなかった。

(なんだか敦賀さんといい、社さんといい、どうしたんだろ・・・・。やっぱりお仕事でなにかあったのかな)

私の中で思いつくのは、お仕事関係以外なかった。

この鈍感さがふたりを苦しめている事に

気付けることなど出来なかった。



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