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ACT.175 ヒール・シック 本誌妄想(後編)

控室に入るとキョーコは大きなため息をついた。
ヒール兄妹として初めて本格的にスタジオ入りすると、ひどく緊張していたのか身体が思うように動かない。
初めての顔合わせは、ただでさえ緊張する。正体がばれないように細心の注意を払って行動すると、いつも以上の疲労感だった。


「はぁ~~」

キョーコの大きなため息を見て、蓮は扉に視線を向けると人気がないのを確認して、キョーコの耳元で囁いた。

「大丈夫・・最上さん・・?」

「え・・あ、はい・・大丈夫です・・すみません・・ちょっと疲れたので少しだけ役から抜けていても大丈夫ですか?」
椅子に座ろうと背もたれに手をかけた瞬間、蓮に抱き上げられ椅子ではなくソファーに座らされた。
驚いてすぐ後ろにある蓮の顔をじっと見つめると、優しい瞳がみつめ返してきた。

「外に声が聞こえてしまわないように、寄りかかって話してくれる?」
そう言って蓮はキョーコの身体に腕を回し自分の肩に頭を預けるように促した。

「え・・あぁ・・は、は・・い」

「クス・・さっきの強気な女性と同じ人物には思えないね・・」
蓮が話をするたびに身体からわずかに伝わる声の振動が、キョーコをドキドキさせた。

「だって・・あ・・あれは・・セッちゃん・・ですから・・」
恥ずかしそうにキョーコがそう応えると、蓮はクスリと笑った。

「そうだね・・ところで、彼に何を聞かれていたの?」

「はい・・カイン・ヒールはどこの大道芸人だ?というのと・・名前、それから私たちの関係を訊かれました」
顔合わせの時、彼の様子を見てキョーコに、いや、セツに興味を持ったことは瞬時に悟った。
しかし実際にキョーコからその言葉を聞くと複雑な心境になった。

「ふぅ~ん、なんて応えたの?」

「名前はお伝えしましたが、関係については兄妹とは言わずに内緒にしてあります・・たぶん秘書(通訳)兼恋人だと思っています」

「そうなんだ、じゃ、しばらく勘違いさせておこう・・村雨さんはセツに興味があるみたいだから・・」

「え?そうですか?まったく気が付きませでしたが・・」

そうだろうね・・
俺がこんなに分かりやすく君に接しているのに、それでも全く気が付かないんだから・・

そんなことを頭で考えながら肩に寄りかかるキョーコの重みに幸せを感じていた。

「わかりました、ではしばらく兄妹ではなく・・その・・こ、恋人・・の役を・・・・」
真っ赤になりながらそんなことをいうキョーコに愛しさが募る。

「よろしくね、最上さん」
そう言ってキョーコの髪にキスをする。

「ひやぁああ・・な、何て事するんですか!」

「声・・大きいよ。・・それに・・スタジオでも必要に応じてキスするから覚悟してね?」

「ひ、ひ、必要に・・応じて・・・・き、き、キス・・・・なんて、む、むむ無理です・・」
真っ赤になりながら両手をバタバタさせるキョーコを見ると心にチクリと痛みが走った。

「君は・・役を途中で投げ出すつもり?」

「い、いえ・・そうでは・・ありませんが・・・・ひ、人前で・・なんて・・」
茹で上がったように真っ赤なキョーコを見て、抱きしめたい衝動に駆られる。

「じゃ、練習しようか・・?」

彼女の性格を知っていれば、これは卑怯な手段だ。
ただ、自分の欲望を満たしたいだけなのかもしれない・・
役を途中で投げ出しているのは俺か・・?

「れ、れ、れん、練習ですか?・・・・む、無理・・無理無理無理です!」

「大丈夫、ただ目を閉じていれば良いから・・」

「あ、あぁああの・・・・」

「ん?」
蓮が小首をかしげるとキョーコは落ち着きなく蓮に視線をむけた。

「ほ、ほ、本気デスカ?」

「リハーサル・・・・なくても平気なら、俺は別にかまわないけど?」
その言葉にキョーコは一瞬間を作ると、上目づかいに蓮をじっと見つめた後に、急に立ち上がりソファーの上に正座をした。

「そ、それでは・・よ、よ、よろしく、お、お願いします。」
まるで畳の上で挨拶をするような綺麗なお辞儀をして蓮をじっと見つめた。

これからキスをするというのに目の前で正座をして、お願いしますと言われるとは思わず、蓮はクスクスと笑い、しまいには声を上げて笑い出した。

「つ、敦賀サン?」
恥ずかしそうに頬を染めながら蓮を見つめる。

「ご、ごめん・・あまりにも可愛らしいことをするから・・つい・・笑ってしまったよ・・」

「ど、どうせ・・私は、敦賀さんのように経験豊富ではありません・・・・」
いじけた顔さえも愛しくて、このまま手放せなくなりそうだった。

「あ、あの・・・・つるがさん・・その・・ソンナニジット見ラレルト・・・・」

「ん?・・緊張する?・・・・俺も緊張するよ・・」
そう言ってキョーコの頬に手を伸ばすと優しい笑顔を作り顔を引き寄せた。

唇が重なるまさにその瞬間
ドアをノックする音が響き、蓮は残念そうにキョーコから離れて立ち上がった。

「カインさん・・スタジオにお願いします!」
スタッフの声が部屋に届き、カインが短く返事を返す。
真っ赤な顔のままキョーコがソファーの上で正座しているのを見て蓮は、手を差し伸べた。

「セツ・・準備できたか?」
その声にハッとして瞬時に心を切り替えるとセツカが現れた。

「ぇえ・・兄さん・・・・大丈夫よ?」
そういって、頬を染めたままのセツカがカインに視線を向けた。

「しばらくは恋人ごっこだよ・・セツ・・」

「準備できたわよ?カイン」
悪戯な笑みを浮かべてセツカはカインの腕にしがみついた。

「・・その前に・・・・」
カインがドアの前で急に振り返りセツカをじっと見つめた。

「ん?・・何か忘れ物?」

「あぁ・・大切なものだ・・セツ・・ちょっとこっちを向け・・」

「な、何よ!早くしないと遅れる・・わ・・」
顔を上げて文句を言おうとした瞬間カインの唇にふさがれた。

「・・・・んっ・・」

柔らかい唇が離れると、頬に軽く唇が触れチュッと音を立ててカインが離れた。

「・・・・リハーサル終了・・行くぞ・・セツ?・・大丈夫か?」

「ちょ、ちょ・・ちょっと・・ま、ままま、待ってください・・」
カインの腕に手をかけたまま、あきらかに動揺したキョーコが真っ赤になって頬をおえてうつむいていた。


キョーコは大きく息を吸い込むとゆっくりと息をはきだし再びセツカに戻る。


「おまたせ、兄さん・・じゃなくてカイン?」

まるで恋人同士のようにセツカが寄り添うとカインがその肩を抱き寄せ楽屋を後にした。







おしまい
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