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ゆきの姫(前編)

CMの撮影がスタートするとキョーコは中央の椅子に座りオルゴールの音にあわせてゆっくりとまわりはじめた。
噴水の水が照明に反射して幻想的な世界を広げる。
足元から流れるオルゴールの音が子守唄のように聞こえ、キョーコを眠りの世界へ誘った。



ゆきの姫 




春が訪れたはずなのに、キョーコはくるぶしまである丈の長いフード付きのコートを着ていた。

淡いベージュの装いは、雪の国のお姫様のように見え、キョーコはその衣装をとても気に入っていた。
暖かい起毛の素材が、女性らしい柔らかさをより引出し、深々と降る雪の景色は、映像とは思えないほどよく馴染んで季節が逆戻りしたような錯覚をおこした。


愛らしい衣装にそぐわず、形を維持するために張りめぐらされたワイヤーと、きらびやかな装飾によって服の重さは、ゆうに20キロを越えていた。
裾に縁取られたファーが、空調の穏やかな風で軽やかに揺れていているためか、見た目にはその重さを感じさせない。
キョーコはその重さに耐えるように大きく息を吸い込むとゆっくりと吐き出しながら、瞳を伏せた。



「Gスタジオのオルゴール見たか?」
廊下に響くスタッフの声が蓮の楽屋に届く。

「あ、見た!見た!あの噴水の上にのってる白いオルゴールだろ?・・なんかの撮影で使うのかな?季節が逆戻りした感じだけど、ちょっと感動的だよな?」
「もう少し小さかったら、俺・・欲しいかも・・」
「あぁ~確かに・・近くで見ても良いのかな?」
「撮影終わったら見せてもらおうぜ・・」
「そうだな・・」



廊下に響いた声が聞こえなくなると、蓮は社に視線を向けた。
「社さん・・Gスタのオルゴールって知っていますか?」

「あぁ~・・テレビ局の中でその話題が出てたな・・なんて言ってたっけ?・・そう、そう『ゆきの姫』だったかな?・・なんだお前・・そんなのに興味あったっけ?」

「・・え?・・あ・・まぁ・・そうですね」
あいまいな返事を返すと社が目を細目、しばらくするとグフグフと笑い始めた。

「社さん・・気味が悪いのでその笑い方・・何とかなりませんか?」

「悪い、悪い。・・だって、お前・・キョーコちゃんに見せてあげたいとか、思ってそうだな・・って思ったら・・ちょっと・・グフフ」
蓮は社にきつい視線を向けると諦めたようにため息をつき白状した。

「社さん・・ご察しの通りですよ・・・・まだ時間ありますよね?・・ちょっと見てきても良いですか?」

「え?お前・・わざわざ見に行くのか?」

「えぇ、そんなに話題になるほどだったら見に行ってみたいですね・・しかも女性スタッフじゃなくて男性スタッフも興味を持てるようなオルゴールだったら・・気に入るかもしれませんし・・」
そこで、いったん言葉を切って蓮は綺麗な長い指を顎にあてて何やら考えはじめた。

「蓮・・お前今・・気に入ったら買おうとか・・思っただろう?」

「社さん・・人の心の中を覗かないでください。・・確かに気に入れば、購入しても良いな・・とは思いましたけど・・」
ばつが悪い顔をしながらも、素直に応える蓮の様子を見て社は心の中で期待をした。

少しは進展すると良いな・・キョーコちゃんと・・


社があれこれ2人のことを考えていると、蓮がソファーから立ち上がる気配を感じて現実に引き戻された。

「・・社さん・・Gスタに行きませんか?」

「あぁ・・そうだな・・ちょっと早いけど・・そのまま次のスタジオに入るか・・」


そのオルゴールを見るために蓮と社はGスタジオを目指した。





Gスタジオに入ると、目の前に広がる雪景色に蓮と社は驚いた。
真っ白な壁紙に微かにみえる雲の影が、真冬の空を思わせて、屋外にいる気分にさせられた。

「社さん・・すごいセットですね・・」
スケールの大きなセットを見慣れている蓮でさえ驚くほど豪華なセットだった。
あたり一面が雪景色なだけでなく。ヨーロッパのどこかを再現したような小さな街並みが広がっている。

「ぅわぁ~・・すごいな・・これ・・CMだよな・・?」

「スタジオの中にいる感じがしませんね・・」
蓮と社は、その街並みに足を踏み入れないようにゆっくりとセットの周りを歩きはじめた。
煉瓦造りの大きな家を通り過ぎると中央に噴水が見え始めた。

「噂のオルゴールってあそこの中央にある噴水のことか・・?」

そこには驚くほど精巧な人形が座っていた。女神像というにはあまりにも精巧で人間が座っているように思える。
街並みに合わせた煉瓦造りの噴水にたたずんでいる女性像の眠るようなその表情はため息が出るほど美しい。
その存在に社の視線は釘づけになった。

「うわぁ~・・本当に綺麗だな・・まるで生きているみたいだよな、蓮・・・・あれ?」
隣を歩いていたはずの蓮がいつの間にか姿を消していた。
社はあわててあたりを見回すと、像の後ろ側から蓮が回り込んでいるのが見えた。

「・・蓮・・お前・・プロだろ?・・勝手に入ったら・・」

言いかけて、蓮の足元を見るとスタッフが使っていたと思われる板の上にのり、像から1mほどの位置で眩しそうに瞳を細めてじっとその像を見つめていた。

・・・・あれ?
・・この表情どこかで見たような・・

社が蓮の様子を見ていると、艶やかに微笑んで『ゆきの姫』の像にさらに近づいて行った。


・・なんか蓮が近くに立つと・・
映画のワンシーンみたいだな・・

スタッフが話題にしていた理由がわかる。
『ゆきの姫』の像の閉じられた瞳は男心をくすぐるものだった
その瞳が開いたらいったいどんな表情を見せるのだろう・・
誰もがそう思わずにいられないほど繊細で美しい女性像だった

蓮がその像を見つめた後、名残惜しそうに背を向けると段差から降りて、再びその女性像に振り返った。

「社さん、まだ時間ありますよね?」
社は時計を見て時間を確かめると蓮に視線をむけた。

「ぁあ、後15分くらいなら時間あるぞ?」

「・・社さん、ちょっと用事を思い出したので、先に行っててもらえませんか?」

「ん?・・別に良いけど、なんでだよ・・?」

「・・この像の本体を見てこようかと思って・・・・」
そんな蓮の発言に驚いて、社が大きな声を上げる。

「え!・・なんか有名な像なのか?・・これがレプリカだってよくわかったな・・」

「えぇ、そうですね、よく見ていますから・・」
その表情を見て社は驚いた。

・・・・な、なんて表情するんだよ蓮・・

恋する少年のようなその表情に、社は不安を感じた。








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