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瞳そらさないで(後編)

「君との距離 上河睦月」様よりSSをいただきました。

全3作の素敵なSSです。
蓮様がこの後どうやってキョーコとお話しするのか・・気になりますよね・・
いったい二人はどんな話をするのか・・どんな展開になるのか・・・


それではいってらっしゃいませ・・




「話ってなに?」
ソファーに座り、珍しく落ち着かない様子のキョーコに淹れたてのコーヒーにミルクと砂糖を添えて出すと蓮はいつものようにキョーコの真正面ではなく、敢えて隣に座った。そして、さっきまで捨てようとしていた週刊紙の束をキョーコに見せ付けるかのようにテーブルの上に放り投げる。

「…………っ」

それを見たキョーコは、直ぐ隣に座っている蓮と相対するようにソファーに正座をし直すと、真っ直ぐに蓮を見上げた。
「もしかして、このことで俺に相談しに来たのかな」
蓮もキョーコの瞳を射ぬくように真っ直ぐに見据えた。話す声は穏やかに聞こえるが、蓮の瞳がそうではないと物語る。キョーコはごくりと唾を飲み込んで大腿の上に置いた手に拳を握った。

「はい。実はそうなんです。敦賀さんには…、本当のことをお話しておきたくて…」
「本当のこと?」

思わず語尾が強くなる。本当のことってそれはつまり…、この記事は真実じゃないということか?
でも…、じゃああのナツの交際を認めた言葉は?
それに…、記事に載っていた二人が手を繋いで歩いたり顔を近付けて話したりしているスクープ写真はどうなるんだ。

だんだんと厳しい表情へと変わっていく蓮に、キョーコはやっぱり話しておいた方がいいと思っていた。

今回の件では皆に嘘をついてしまっているけど、やっぱり敦賀さんにだけは真実を知っていて欲しい。この人にだけは誤解されていたくない。

そこまで考えて、ふと気がついた。

--誤解ってなんだろう。新人のくせに生意気なことをしていると思われてしまうこと?それとも、光さんと付き合っているんだと思われてしまうこと?

私は…、わたしは---

「ねえ最上さん。本当のことって?俺にちゃんと教えてくれないかな」

蓮と瞳を重ねながら、ガチャリと心の真ん中で何かが弾ける衝撃を受け止めながら、鼓膜の直ぐ傍で自らの加速する鼓動の音を聞いていた。

---認めたくなんて、なかったのに。

心のなかに急速に広がり始める感情の波がキョーコの思考を一気に奪い去って、今まで押し込めていた蓮への気持ちをキョーコは認めざるを得なかった。

---わたしはこの人が、好きなんだ。この人を。敦賀さんを---

次々に零れ落ちる涙を拭おうともせず、自分の顔を見据えたまま泣いているキョーコに、蓮は固まったまましばらく動けなくなった。

(--なっ!最上さん?一体何があったって言うんだ)

「もがみさ…」
「ごめんなさいっ。なんでもありません。わたし…、帰りますっ」

自分の気持ちに気がついてしまった以上、もうここには居られない。それにただの後輩でしかない私にこんなことで言い訳されたって敦賀さんにとってはきっと迷惑なだけに決まってる。

それでなくてもお忙しいのに、貴重な休む時間を削らせてまで話す価値なんてあるわけない。

正座を崩して立ち上がりバックを手にするキョーコを蓮は呆然と見ていたが直ぐに後を追い掛けた。

---いまの俺を見る目はまさか……。
いや。彼女の態度に期待したらいけないことはわかっている。でも、いまの瞳は明らかに今までと違う。
だとしたら、余計に君をいま逃がすわけにいかない。

リビングの扉にかけようとした白く細いキョーコの手首を捕まえると蓮は後ろからキョーコを抱き締めた。甘い香と柔らかな肌の感触が蓮の心をほぐすようで、自然と抱き締めた腕に力がこもる。

「は、離してください」
「嫌だ、放さない」
「どうして」
「どうしてってそれを君が言うの?話がしたいって来たのは君だよ。まだ話は終わってない。それに、そんな顔をさせたまま俺が君を帰せると思う?」
「お願いです!後生ですから黙って見逃してください」
「ダメだ」
「どうしてですか!!」
「俺が君を好きだからだ」
「な、敦賀さん何言って…」
突然すぎる蓮の告白にキョーコは泣きながらふるふると首を振り、一回り以上自分よりも大きな身体を両手で押し退けた。
(敦賀さんが私を好きだなんて、こんなに都合いいことがあるわけない)

一世一代の自分の告白から逃げようとするキョーコを逃がさないと言わんばかりに蓮はその華奢な身体を引き寄せると自らの胸の内に再び収めた。

(彼女の俺に対する気持ちに自信はない。でも、俺が彼女を想う気持ちには自信がある。だから最上さん。彼じゃなくどうか俺を選んでくれ…)

願うように、縋るようにその指先に力を込める。キョーコの身体はそれに反応するようにビクリと震えた。

「君がここへ来た理由をちゃんと聞かせて。俺は君が好きだけど、君が他の男と付き合ってるのがもし事実だとしてもその気持ちは変わらないよ。むしろ…」

蓮は抱き締める腕から少しだけ力を抜いた。自分の胸板とキョーコの身体との間に出来た僅かな空間を見付けると、そこからすくい上げるようにキョーコの顎に手を掛けると再び視線を合わせて神々しく微笑む。

(---どうしてだろう。敦賀さんとこんなあり得ない状況なのに、私の気持ち…落ち着いてる…。尚ちゃんを好きだったときとは全然違う。さっきまで津波みたいに荒れていた気持ちがいまは穏やかに繰り返す波のように心が静かだ。敦賀さんが私を好きだなんて信じられないと思ってたけど…。敦賀さんの言葉に、温もりに、嘘はないような気がして…、安心、出来る)

「むしろ…、なんです、か?」

逸らされると思っていた視線を合わせたまま、引き締まった表情で問い掛けたキョーコに蓮の胸は愛しさで満ち溢れた。

「うん…。むしろ、どんな男が相手でも、俺は必ず君を俺に振り向かせてみせる。----それくらい、本気なんだよ、最上さん」

「………」

「お願いです。最上キョーコさん。いまの君が誰を好きでも構わない。でも最後には。俺の…この手を取ってもらえませんか?」

「……っ」

キョーコを見下ろして思いを告げた蓮の顔は甘やかでどこまでも優しく、キョーコは自分のなかにある暗い闇がまばゆい光にすっぽりと包み込まれて消えていくのを感じていた。

(敦賀さんが私を好き…)

蓮と初めて出会ったときからの出来事が、キョーコの脳裏に走馬灯のように駆け巡った。

(いつも傍にいて、この人は私を守って導いてくれていた…。どうして私は、こんな簡単なことに気が付けなかったの?)

目の前で蓮は手を差し出したまま、キョーコが答えるのを待っていた。

---迷うことなんて出来ないわよね。もう、認めるしか…ないじゃない。

すうっと肩の荷が降りたようになんだか心が軽くなって、キョーコはふふっと笑っていた。

「敦賀さん。ありがとうございます」
「…え?」
幼い頃に出会ったキョーコちゃんを思い出させるキョーコの笑顔に、蓮は驚きを隠せなかった。
「こんな平凡な私なんかを好きになってくださって」
「最上さ…」

「好きですよ。私も敦賀さんのこと。多分、ずっと前からです」

照れ照れと笑いながら言うキョーコに、一瞬驚いて、でもすぐに蓮はその綺麗な瞳を細めた。

ずっと待ち望んでいた、ずっと恋い焦がれていたキョーコの気持ちを確かに受け取れたんだと胸が焼けるように熱くなる。

それと同時に、蓮は自分のなかにある黒い塊が融け始めるのを感じた。

(やっと……、やっと君を手に入れた)

思うより先に腕が自然とキョーコへと伸びていた。

「きゃっ…!つ、敦賀さん」
今まで燻っていたものを消化するように、蓮はキョーコを抱き締めた。
甘く切ない香が漂うキョーコの柔らかな髪に、前髪をすくい上げて額に、耳椨に、頬に、目蓋に。ひとつひとつキョーコの存在を確かめるように丁寧にキスを落とした。

「好きだよ。本当に君が好きだ」
「ふふっ。敦賀さん、私もですよ」
「じゃあ…いいよね?」
何がですかとキョーコが言葉を返す時間も与えず、蓮の長い指先に顎を引かれ、何がいいよねなのかを一瞬で悟ったキョーコの顔は真っ赤に染まり、唇を両手でガードした。
「……なんだ残念だな。クス。でもまあいいか。これから時間はたっぷりあるしね?歩く純情さんには俺が一から教えてあげるよ」

いやあぁぁぁ~っ!!というキョーコの叫び声にも、微動だにしない蓮がそこにいた。

*

後日、富士テレビで放送された一本の特番が世間を騒がせた。

「なんだよ~。京子と気まぐれロックの光ってヤラセだったのか」
「富士テレビの毎年やってるどっきりらしいよ。放送日まで世間を騙すってマスコミを巻き込んでのネタだったらしいぜ」


(おしまい)
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